回帰船の保育

 

1974年12月に保育室としてスタートしました。

回帰船保育所は、小金井市内での移転を経て、2011年に東京農工大学小金井キャンパス内に新園舎を建築し、6月から東京都認証保育所になりました。
 
子どもたちの幼少期という大切な時期を、できるだけ楽しく豊かな時間にしてほしいという思いから、保育の量よりも質にこだわり、定員26名という小規模な保育を行っています。
 
知識というより知恵、生きていく力を身につけてほしいと考え、長年培ってきた保育を実践し、日々の生活を丁寧に積み重ねています。

 


回帰船の子どもたちは、とにかくたくさん遊びます。

毎日のように外に出て、たくさん歩き、おひさまを浴びる。緑に恵まれた小金井という場所で、はらっぱや、いろいろな公園で、走り回る、木に登る、虫を追う、草花を摘む。雨の日の工作やお絵描き。ふだんから絵本や図鑑をよく読み、いろいろなことに好奇心旺盛です。

 

遊びの時間を大人が強制するのではなく、子ども自身の意欲、子どもが自由に選択し、決めることを大切にしています。大きい子たちの遠足では、電車やバスに乗って遠方まで出かけることも。毎日の小さなひとつひとつの経験、成功、失敗、時にはケンカをすることもまた、子どもたちを大きく成長させてくれます。

 


小さい子と大きい子が一緒に過ごしています。

クラス分けをしない異年齢保育のため、0歳から就学前までの子どもたちが多くの時間を一緒に過ごします。きょうだいのように仲良く生活する中で、たくさんの刺激を受けあい、様々な性格、特性のある友だちがいることを理解していきます。小さい子が大きい子に憧れ、成長したいという意識をもち、大きくなるにつれ、自分よりも小さい子、弱い子を思いやる、強い気持ちが育まれています。

小さな集団の中で、子どもたち、大人たちと出会い、ひとりひとりと濃密に関わることで、子どもは、想像力、社会性といった能力を伸ばし、人間関係の基礎を学んでいきます。


「あそぶ・たべる・ねむる」という基本的なことを大切にしています。

食材の産地を選び、なるべく化学調味料を使わないことにこだわり、アレルギーにも対応します。和食中心の昼食は、子どもたちにも大好評で、徐々に好き嫌いが減っていきます。保護者の協力のもと、園庭では草花や野菜作り。自分で収穫したものを、おいしくいただくことは子どもにとって貴重な経験です。

たくさん遊んで、おいしいごはんを食べたあとは、ゆったりとお昼寝。起きたら、お待ちかねの手作りおやつの時間です。お菓子やキャンディーは、遠足など特別な日のお楽しみに。軽い病気の時には、なるべく薬を使わずに、自分で治す力をつけていってほしいです。回帰船のリズムで生活をすることで、ぐんぐん抵抗力がついていき、実際に病気でお休みする子どもは、とても少ないです。


親の人たちにも一緒に働いてもらいます。

回帰船にとって、何よりも保護者の協力は欠かせません。定期的に開催する保育懇談会への参加、年に2回の園内の草とり、イベント等の係分担もお願いします。

子どもと保護者にとって、保育者は、いつも近くにいる仲間のような存在でありたいので、「先生」という呼び方はせずに、気軽に話しあえるおつきあいをしています。保護者と保育者、OBがともに活動することで、長い間、回帰船は支えられてきました。これからも、孤立した子育てにならないように、大人同士が横のつながりをもち、みんなで一緒に子どもたちの成長を喜びあえる関係を築いていきたいです。


子どもが地域で安心して育っていけるように。

地域と関わりながら、子どもたちが育つ環境を整えることを目指し、2005年にNPO法人になりました。地域にひらいたイベントを企画、保育所として地域のイベントにも参加し、自分の子どものことだけではなく、他の子どもたちのこと、地域、社会にも関心を持つきっかけになるような場をつくっていきたいと考えています。

保育所を卒園した後もつきあえる仲間、OB、地域の方々、多くの人との関わりが、子育てにとって大切なことです。子どもと地域が、より密接に結びつき、誰にとっても近くに子どもがいることが自然な社会、子どもが安心して育つ地域づくり、長い目で見た子育てを応援しています。